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034 『 天国からの友だち (a friend from heaven) 』 [小説『a friend from heaven』]

  言葉は人間にとって必要であることは、分かっている。しかし使い方によっては鋭い凶器になってしまう。それによって受けたこころの傷は、とても深く治ることなく、一生涯引きずっていかなければならなくなってしまうことも多いと思う。その傷を抱えて行くことで成長し、大人になって行けるのだろう。
  しかしその頃の僕は、生来無口で陰うつな性格だったこともあるが、自分が傷つくことを恐れ、人と話すことを拒絶していた。そうやって自分の中に閉じこもっていることしかできなかった。人間不信、人間恐怖症というところだ。
  しかし、かおりの言葉は僕のこころに素直に入り込んできた。なんの不信感もなく、恐怖心もなく。それは、彼女自身もこころに深い傷を抱えていたからだろう。だから、人に優しく言葉をかけられるのだ。その痛みを知っているから。

  僕は彼女と出会ってから、人を信じることができるかもしれないと思うようになった。人に対する恐怖心、警戒心が和らいでいくように感じた。彼女がそうさせてくれたのだ。

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033 『 天国からの友だち (a friend from heaven) 』 [小説『a friend from heaven』]

「うん、僕もそう思う。あのね、イルカの話なんだけど、病気の子供をイルカのいるところへ連れて行くと、イルカがね、口に海藻みたいなのくわえてきて、まるでいっしょに遊ぼうって言っているみたいに近づいてくるんだって。子供の気持ちが分かっているみたいに」
「へー、そうなの。イルカに会ってみたくなっちゃった。ふふふ」
「でもどうして人間は、他人の陰口を言ったり、言葉で平気で人を傷つけたり、ばかにしたりするんだろう。それがいじめに繋がっていったりすることもある。人間て、へたに言葉なんて話すことができるから、そうなっちゃうのかなって思うことがある。かおりはどう思う?」
「んー、言葉が話せるのって、高等なことなんでしょう?動物としては。でも人間以外の動物は自分の仲間を殺すまで傷つけたりしないって聞いたことあるけど、勢力争いとかでけんかすることがあっても。人間は、言葉で他人を死にまで追い詰めたりすることって、けっこう多いんじゃないのかな。いじめで、言葉によって攻撃されて、言葉以外でも攻められて、どん底まで追い詰められて自ら命を断たなくっちゃならない。それ以外の方法が無かったなんて、私も分かるんだけど、そんなの最低。人間て、なんなんだろうって、高等な動物なんだろうかって、思っちゃう」
「かおりは、僕なんかよりずっと辛くて苦しい思いしたんだもんなー。人間て、なんでそんなに酷いことができてしまうんだろうって思う」
「りょう君も嫌なことがあったから、人と話をするのをやめちゃったんでしょう?言葉で傷つけられるのが嫌だったんでしょう?私は、りょう君のことちゃんと分かってるからね。でも、私はいじめの始まった頃、けっこう言い返したりしてたんだけどね。無駄な抵抗だったけど・・・」

タグ:小説
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032 『 天国からの友だち (a friend from heaven) 』 [小説『a friend from heaven』]

  そろそろ、貸ボートの時間が迫っていた。

「あっ、かおり、そろそろボートの時間終わっちゃうから、戻ろうか」
「うん、なんか、あっという間に終わっちゃった」
「でも、いっぱい話しができた気がする」
「そう?私はまだ話し足りないけど・・・」
「うん、僕も。もっと話していたい。ボート降りてから。どこかで話そうか?」
「うん」

  かおりと僕はボートを降りて、展望台の方へ向かった。そこには他に誰もいなかった。二人でベンチに座った。

「ここで、いいかな?」
「うん」
「さっきのペットの話なんだけど、動物っていいよね。僕は犬が一番好き。かおりは、どう?」
「私も、動物、大好き。動物は全部好きだけど、やっぱり犬が一番好きかな。死んじゃったハナのことが忘れられないから」
「そうなんだ。僕も今飼ってるチビが、大好き。僕にとって大切な存在だから」
「チビは、りょう君の友だちだもんね」
「うん。でもほんとに、犬っていいと思う。人の悪口言ったり、ばかにしたり、いじめたりしないから。まあ、犬はしゃべれないからだけど。でも、こころが通じ合えてるような気がする。人間の言葉が分かっているのかな。人のこころ、気持ちを理解しているのかな。なんて、思うことがある。かおりはそんなことない?」
「うん、あるある。私が寂しそうにしていたら、ハナが近づいてきて、なにか言いたそうにしているように感じることあったの。慰めようとしてくれているのかなって思っちゃった」

タグ:小説
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