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011 『雨宿り』 [イメージ小説『雨宿り』]

「あいつら、いつも二人でいるよな」

ホテルの部屋での自由時間、四人の一人が話し出した。

「おう、影木たちだろ」

女子生徒達は数人ずつクラスでいくつかのグループに、なんとなく分かれているのだけれど、影木とミオはどのグループに所属することもなく、二人で固まって教室などでもいることが多かった。

「そうだ、さっきの晩飯の時、雨田に話しかけてたよな。影木、おまえに気があるんじゃないのか?」
と笑いながら、ベッドの傍らでバッグの中をごそごそとしている雨田に向かって言った。
「え・・・」
彼らの話を聞いていなかったように、雨田は答えた。

「そんなわけないだろ」
「そうだよな」
さらに笑いは大きくなっていた。

「だいたい、影木のやつ、大学生と付き合ってるらしいぜ」
「やるねー」
「いろいろ噂が出るやつだよな」
笑いは、影木に向けられていった。

「あの二人、なんか変だよな」
「浮いてるな」
三人が大笑いしているのを背にして、雨田はまだバッグの中を整理してるのだった。
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010 『雨宿り』 [イメージ小説『雨宿り』]

目が泳いでいる雨田から視線をわざと外すようにして、

「お醤油」
と言って、影木は差し出した。
「ありがとう・・」
雨田は醤油の瓶に目をやりながら言い、受け取った。

周りの男子、そして女子も、その光景を見ながらあ然としたした表情を浮かべているのだった。

一瞬の沈黙の後、賑やかな声が戻っていた。

影木も、何もなかったように隣のミオとおしゃべりを始めた。
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009 『雨宿り』 [イメージ小説『雨宿り』]

夕食の時間。

ホテル宴会場で、生徒全員が食事を共にした。
和室の大広間で、長いテーブルを挟んで生徒達が座っていく。
座る位置は自由に各々が、気の合うもの同士自然に、並べられた座布団に座っていった。
雨田はその席取りを見詰めていた。
そしてクラスメート達が皆席に着いた後、雨田は空いている座布団に着こうとしていた。

座ろうとする雨田を、隣の男子生徒が見上げた。そのあと、その生徒は反対側の生徒に向かって何か言ったように見えた。

食事が始まった。
隣同士、
「おまえ、今日の農業体験どうだった?」
などと話が盛り上がり、あちらこちらから笑い声が絶え間なく聞えていた。

「はい、お醤油」
という言葉が、うつむいて食事を黙々としていた雨田の方に向かって聞えた。
雨田の両隣の男子生徒達は、雨田が気付く前に、その声の主の方に目が移った。
そして、うつむいたままの雨田に目を移すと、やっと何かに気付いたように雨田が顔を上げた。
雨田は視線を左右に揺らした。

そして、彼の斜め右前にいた女子と目が合った。

影木だった。

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